失敗への叱り方を使い分けて、社員の成長を見守る
(第182話)失敗への叱り方を使い分けて、社員の成長を見守る
失敗の事象のみに注目して、批判を集中するのは成長が止まる会社
失敗の背景にも着目して、批判を使い分けるのが成長し続ける会社
パンと一緒にお皿までトースターに入れてしまい、煙がもくもく。
先日甥っ子がやらかしてしまった失敗です。
話を聞いて、「なんで、こんなアホなことを?」と思いましたが、理由を聞いて一部納得するところもありました。
最近母親が新たに仕事を始めたため、何かと忙しくしているため、「パンぐらいは自分で焼かないと」と思ったのがそもそものきっかけです。
つまり、目的は、母親の負担を減らすことです。
これ自体はたいへん素晴らしいことであり、実際その甥は最近は洗濯物の取り入れも率先してやっているようです。
そして、目標は、自分が食べるパンを自分で焼くこと。
この目標自体も問題なしです。
最後に、そのやり方。彼の失敗はここにありました。
直接本人に聞いていないので、なぜお皿と一緒にトースターに入れてしまったのかは不明です。
大人から見れば、「そんなこと常識でしょう!」ということかもしれません。
けれども、最近では冷凍食品を温める際に、紙の容器も一緒に電子レンジに入れてOKというものもあります。
このため、小学生の甥にとっては、単にその区別がつかなかったからかもしれません。
いずれにせよ、この一連の失敗は
- 目的:〇
- 目標:〇
- 方法:×
と言えます。
さて、社員が仕事でなんらかの失敗をした時、経営者はどこまでのことが分かって怒っているでしょうか。
例えば、「お客様の役に立つ」という経営理念を掲げている会社で、社員がお客さんの言うなりになって、大幅値引きしてしまった場合。
もしかすると、社員は、経営理念に沿っているので、目的としては正しいと理解して行動したかもしれません。
この場合は目的に対する解釈が違っているので、お客さんの言うなりになることが、お客さんの役に立つこととは違うことを分からせる必要があります。
また、今月の売上目標を達成するために、採算を度外視して、値引きしたことも考えられます。
この場合は、売上高のみを目標に設定したことに根本的な問題があります。
社員は目標に沿って行動したのに、怒られたら納得がいきません。
一方で、目的も理解し、利益も含めた目標も設定しているのに値下げして採算割れになっている時は、より深く確認する必要があります。
戦略的に最初は値下げして、タイムライフバリューとして採算を確保するという狙いがあるのか。
もしかすると、何かお客さんとの間でトラブルがあって、値下げせざるをえない状況に追い込まれているのか。
ここはじっくりと冷静に社員の言うことに耳を傾けましょう。
失敗という事象に直面した時、誰しも表面的な事象に囚われて、「なんで、こんなアホなことを?」と指摘しがちです。
しかし、目的、目標、方法の各レベルで叱り方にも違いがあってしかるべきです。
特に目的も目標もOKなのに、やり方が違っていた場合、少なくとも、やろうとした目的や目指している目標としてはOKであることを認めてあげた方がベターです。
先の甥の例で言えば、ある意味惜しい失敗であり、「なんで、こんなアホなことを?」と叱り飛ばしてしまうと、せっかく出てきた自主性の芽を摘んでしまう結果にもなりかねません。
相手の理解度に合わせて指摘の仕方や怒り方も変える。
かーっと頭に血が上っている時は簡単ではありません。
けれども、幼いわが子の成長をそっと見守るような度量を持って社員にも接していると、きっと伝わるものがあります。
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