目指すならグンと高いレベルを目指そう
(第49話)目指すならグンと高いレベルを目指そう
「人を大事にする」を看板で見せるのは半人前の経営者
「人を大事にする」を背中で見せるのが一人前の経営者
川越胃腸病院という病院をご存知でしょうか?
私は先週の土曜日に「人と経営研究所」の大久保寛司さんの講演で、その存在を知りました。
院長である望月先生は手術してもほとんど血が出ないので、ゴットハンドと言われるほど凄腕の先生です。
それだけでもスゴイと思うのですが、川越胃腸病院はロビーで待っているだけで泣けてくるぐらいスゴイ病院なのです。
ある時、病気が進んでほとんど食事も喉に通らない末期の患者さんがいました。
でも、その患者さんが「鰻を食べたい」と言われたそうです。
こんな時、あなたならどうするでしょうか?
患者さんのワガママだから適当にあしらうという人もいるかもしれません。
ちょっと気の利いた人なら「近所から鰻の出前を取って食べてもらう」と考えるかもしれません。
でも、病院のスタッフは
「せっかくならその場で鰻を焼いてその匂いも味わってもらおう!」
と考え、病室で鰻を焼きました!
そして、病院の特別個室を借り切って患者さんの親戚も招いて、鰻を食べてもらったのです。
これだけでもスゴイと思うのですが、話はそこで終わりません。
食事もほとんど喉に通らなかったその患者さん、鰻と一緒に出されたけんちん汁を最後まで飲み干しました。
そのけんちん汁、病院のスタッフが患者さんの実家に行ってその作り方を教わっていたのです・・・。
この話を大久保さんはリッツ・カールトンホテルの日本支社長だった高野登さんと一緒に聞いたそうです。
その時、高野さんが言われたのは
「リッツ・カールトンホテルが一生かかっても勝てない」
つまり、リッツ・カールトンがおもてなしをするのは、また泊まってもくれるかもしれないお客様。
しかし、川越胃腸病院が鰻とけんちん汁でおもてなししたのは「また」がない患者さんです。
この話を聞いた時は私も胸がつまりました。
そして、正直「そこまでやるか」と愕然としました。
リッツ・カールトンホテルでは従業員に一定の権限を与えられ、「お客様のため」ならお客さんの忘れ物を届けるために新幹線に飛び乗るのは上司の決裁を得なくてもOKです。
一方の川越胃腸病院。
特別個室の利用や鰻を病室で焼くことも、いちいちスタッフが上司に確認した訳ではありません。
「院長先生ならぜったい許してくれる!」
そんな意識がスタッフに浸透しています。
そして、それは医者や看護師だけでなく、掃除のおばさんにもいつでもやさしく声をかける望月院長の考えと姿勢を病院の皆が知っているからです。
今回参加した講演会の主たるテーマはリーダー。
大事にされた人はお客さんを大事にする。
リーダーが社員に注ぐあふれんばかりの愛情が次は社員からお客さんへと注がれる。
先のエピソードだけでなく、
人を大切にするというのはリーダーである経営者が、自ら実践してこそ、初めて実を結ぶ
という事例にたくさん接して、改めて経営とは人なりを痛感しました。
できることなら、川越胃腸病院のように
社員が一つの理念の下で自由闊達にかつ自主的に動いてお客さんを感動させる
そんな会社を一社でも多く作れるよう頑張ります。
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Tag: 経営理念 リーダー スタッフ 川越胃腸病院 リッツ・カールトン