寄り道してもけじめをつける
(第87話)寄り道してもけじめをつける
中途半端な清算で禍根を残すのは成長が止まる会社
徹底的な対応で禍根を断つのが成長し続ける会社
「そんな下らないことに時間を取られるのはムダですよ」
クライアントさんがあることで悩んでいる時、このようにアドバイスすることがあります。
第三者から見れば、どうでもよいことでも、本人にとってはなんとも腹立たしくて仕方がないということは誰だって一つか二つはあるかと思います。
アドバイスに従って他のやるべきことに集中できれば問題ありません。
けれども、クライアントさんによっては、次の打合せの時に、また同じことでぐじゅぐじゅ言っているというケースがあります。
そんな時は思い切って「それなら徹底的に気が済むまでやりましょう!」と言っています。
もちろん、下らないことに時間と労力を使うのは寄り道になります。
でも、本人の中で納得がいかずに、いつまでもそれに引きずられるくらいなら多少1ヵ月か2ヵ月、時間がかかって、余分なお金を使ってしまったとしても、長期的に見れば大したことではありません。
先日もあるクライアントさんに気が済むまでやることをお薦めしたところ、「岩井さんに会えて本当に良かったです。多分、この機会を逃していたら、一生泣き寝入りしていたと思います。」というメールをいただきました。
私の事例で言えば、前職の社長に貸したお金が返ってこないということが過去にありました。
もちろん、お金を貸したこと自体は、当時の私自身も納得の上のことです。
そして、その後漏れ伝わってくる情報を勘案すると、お金を返してもらうのは難しそうだという状況でした。
このため、多くの人からは「勉強代だったと思って諦めるんだね」とか、「どうせ戻ってこないから、早く忘れなさい」というアドバイスをいただきました。
いろいろと紆余曲折はありましたが、最終的に私は裁判に訴えることにしました。
訴状を作る際には資料を提出したりする手間がかかります。
また、当然のことながら弁護士費用もかかります。
そして、裁判中は先方からありもしない事実のでっち上げや誹謗・中傷があり、かえって嫌な気持ちにもさせられました。
ある程度予想はついていましたが、裁判の結果は私の勝訴。
でも、裁判に勝ったからと言って貸したお金が戻ってくる訳ではありません。
無い袖は振れないのです。
では、お金と時間と労力をかけて得たものは何か?
それは、過去に対するけじめです。
「自分としてやるべきことはやったので悔いなし」というスッキリした気持ちであり、それ以降、「なんであんな人にお金を貸しちゃったかなぁ・・・」という後悔の念とはサヨナラすることができました。
他人から言われてすぐに忘れられるくらいのことであれば、それは本当に些細なことです。
一方で、一度忘れかけてもまた気持ちをふさぐ要因となることは、他人から見れば些細なことでも、本人にとっては大きな障害です。
本人だけが分かるガン細胞のようなもので、初期段階で綺麗に除去すれば完治するのに、いい加減な治療法のまま放置していると、また再発して本人を苦しめます。
中小企業の経営者にとって健康管理は最重要事項の一つ。
それは肉体の健康だけでなく、気持ちの健康も含みます。
身体の病気を治せるのは医者ですが、塞いだ気持ちを直せるのは基本的には本人しかいません。
いつまでも過去の事象に囚われるのは非合理的です。
たとえ、多少の時間やお金がかかっても、
けじめをつけて前に進める気持ちを維持する
ことがより大切です。
今年も残り2ヵ月。もし、もやもやしたことがあったら、できるだけ年内に気持ちの決着をつけましょう。
★下記のフォームにお名前とメールアドレスをご登録いただければ、コラム更新時に「成長支援部からの提言」をメールでお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。