感情と理屈を駆使して、自社の商品をアピールする
(第160話)感情と理屈を駆使して、自社の商品をアピールする
自社の理屈が先行して、お客さんの感情を顧みないのは成長が止まる会社
お客さんの感情に寄り添いつつ、自社の理屈も通すのが成長し続ける会社
お肌に良いと言われるコラーゲン。
そのコラーゲンを使った、ある美容クリームのCMは文字通りワンパターンでした。
まず、最初に出てくるのがお肌に悩む女性。
「肌にハリがない」、「たるみがある」といったご本人の悩みが切実に語られます。
また、実際に検視鏡を使って肌の状況を拡大して写し出します。
そして、その女性の写真を街行く人に見せて「何歳ぐらいに見えるか?」と質問。
すると、聞かれた方は「65歳ぐらいですか?」というように、実年齢よりも高い年齢を言います。
次に来るのは実際に美容クリームを使った後。
明らかに最初のイメージとは変わっており、ご本人も「肌にハリが出てきた」「たるみがなくなった」という結果にたいへんご満悦。
また、再び検視鏡を使って肌の状況を写し出し、水分量などの数値が確実に良くなっていることを表示します。
そして、改めて、その女性の写真を街頭で見せると、「40歳ぐらいですか?」と、実年齢より低い年齢の回答が返ってきます。
そして、この時点でようやく、なぜこんなことができるのかについて、専門家の話も交えながら、コラーゲンの効用や他の商品との違いを細かく説明していきます。
そして、視聴者が買いたくなってきたところで、この商品がいくらなのかを説明。
さらに追い打ちをかけるように
- この商品のグレードアップ版が出たこと
- ただし、今回だけこのグレードアップ版もスタンダード版と同じ価格で手に入ること
をアピール。
そして、最後に
- 今回限りの値引きがあること
- 郵送料が無料になること
- 特別なおまけがつくこと
を告知して、番組終了から30分以内に電話するよう促して終了しました。
このCMの流れをまとめると
対象となる人の悩みを具体的に提示する
↓
使用前と使用後をハッキリさせてこの商品が悩みを解決できることを示す
↓
「欲しいかも?」と思わせた後で理論的な説明を行い、根拠がある解決策であることを説明する
↓
さらに「欲しい!」と思わせたタイミングで今回限りの特別なオファーを出す
という形です。
そして、それぞれの項目がさらに手が込んでいます。
使用前と使用後であれば、本人の声+機械を使った画像・数値+第三者の印象を提示しているし、特別なオファーのところでは、値段据え置きでグレードアップ版の提供+値引き+郵送料無料+特別なおまけと、これでもかっていうぐらいのてんこ盛りです。
まさにマーケティングのお手本となるようなCMでした。
これは通販という形でしたが、自社の商品の販売でも参考になるのではないでしょうか。
特に技術的にすぐれた商品の場合、まず最初に「ウチの技術はこんなにもスゴイんだよ!」ということを伝えがちです。
しかし、相手が技術の専門家ならまだしも、多くの人は、いくら技術的にスゴイと言われてもピンと来ません。
けれども、実際に自分の悩みが解消できることが分かると、「なぜ、そんなことができるのか?」と興味が湧いてきます。
そして、興味が湧いてきた時点で、その根拠を理論的に分かりやすく説明すると、「なるほど、そういうことだったのか!」と納得して、その商品に対する信頼感につながります。
実際、先の美容クリームのCMも、理論的なところは、いくつかの専門用語も、交えながら説明していましたが、あまり抵抗感なくすんなりと入ってきました。
また、いくら良い商品であっても、それを実際に使ってもらわなければ、その良さは実感できません。
このため、特に繰り返し買ってもらえる商品であれば、最初のハードルは下げた方がお客さんの数は広がります。
価格競争に巻き込まれる値下げは禁物ですが、最初のアプローチとして、戦略的に値下げをしてファンを増やすという選択肢は大いにありです。
まずは売れているパターンをマネすることで見えてくるものがあります。
特にホームページでもチラシでも、それを見る人の視点や気持ちを常に意識しましょう。
お客さんそっちのけで自己満足で終わっているケースは少なくありません。
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