社長も歴史に学ぶ|成長支援部からの提言(第54話)

社長も歴史に学ぶ|専門コラム「成長支援部からの提言」

社長も歴史に学ぶ

(第54話)社長も歴史に学ぶ

直近の事象だけを見て判断を下すのは脆い会社
歴史も振り返って判断を下すのがしぶとい会社

社長も歴史に学ぶ

先日ドイツのメルケル首相が久しぶりに来日しました。


安倍首相との会談での発言等が話題になっていましたが、新聞等を読んでいると、中国への対応と比べると、最近のドイツは日本を軽視しているという論調の記事をいくつか読みました。


実際メルケル首相の過去の行動を見ても中国の首脳との接触頻度に比べると、歴代の日本との首脳との交流は少ない気がします。


そして、日本が軽視されている要因として日本の経済力の低下や中国の台頭による日本パッシングという指摘が多いように思います。


でも、ドイツにも駐在経験のある外交官の友人によると、「歴史的に見ると、その認識は間違っている」


私たちは歴史で日独伊三国同盟等を学ぶので、日本とドイツは昔から親しいというイメージをなんとなく持っています。

また、明治維新以降、日本は医学や軍事の面で多くのことをドイツから学びました。

そういったイメージからすると、昔は親密だったのに、今は両国の関係がやや疎遠になりつつある
と考えがちです。


しかし、友人曰く、「歴史的には第二次世界大戦の時期があくまで例外であって、ドイツは対東アジアで言えば、中国を一番重要視している」

だから、「メルケル首相が日本よりも中国と盛んに交流しているのも、ドイツとしては昔からの流れに沿ったものである」ということでした。


つまり、アメリカや共産勢力と対抗する関係から、ナチスドイツ時代に中国よりも日本を重要視したことを除けば、ドイツの対アジア外交において中国が最重要国であることは変わっていないということです。


確かに言われてみれば、第二次世界大戦後に日本が急速に復興を遂げ、世界第二位の経済大国になった記憶があまりにも鮮明であるがゆえに、最近の中国の台頭による日本の地位の低下は「どうした日本!」というように思いがちです。


けれども、長い歴史の中で見れば中国が世界でも強大国であった時代の方が長く、欧州諸国が「まずは中国」と考えるのもごく当たり前のことなのかもしれません。


会社においても、ここ1、2年の動きだけを見て

「新商品がなかなか開発できない」

「社員に今一つやる気が見えない」

「情報がタイムリーに上がってこない」

と言われる経営者がおられます。


でも、会社の歴史を振り返ってみると

  • 新商品がバンバン開発できたのは5年前だけ
  • 社員にやる気があったのはITバブルの時だけ
  • 情報がちゃんと上がってきたのはAさんがいた時だけ

という例外的なできごとだったこともあります。

ドイツが歴史的にも中国を重んじていることが分かれば、最近のドイツの動きを見ても必要以上に悲観することもなければ、へんに憤りを覚える必要もありません


同じように、歴史的に見て

「新商品がなかなか開発できない」

「社員に今一つやる気が見えない」

「情報がタイムリーに上がってこない」

のが会社にとって普通の状態であれば、やるべきことは

「なんで、ダメなんだ!!!」

と怒鳴り散らすことではなく、冷静に対応策を考えて一つひとつ実行に移していくことです。


何が例外で、何が普通なのか。

一人ひとりが歴史の証人であり、誰もが歴史を形づくる要因となっています。


渦の中に巻き込まれていると、客観的な状況はなかなか分かりにくいもの。

今自分がいるのはほんの小さな渦なのか、大きな渦の中でもがいているだけなのか、時には俯瞰してみる必要がありそうです。


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Tag: 歴史 会社の歴史 歴史に学ぶ

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