深掘りして仮説を立てる
(第45話)深掘りして仮説を立てる
狭い認識で浅く考えるのは半人前の経営者
広い認識で深く考えるのが一人前の経営者
先日打合せに向かうため、京王線に乗って新宿駅に向かっていた時のこと。
朝のラッシュアワーとも重なったため、新聞を読むこともままなりません。
何気なく車内を見渡していると、ドアの上部にある電光掲示板の文字が目に入ってきました。
「振替輸送のご案内」
です。
その日は東急東横線が遅れているので、京王線で振替輸送を実施しているという内容でした。
その日は東急東横線を利用する予定ではないので、さらっと見過ごしていたのですが、繰り返し流れるメッセージの中で
「西武池袋線内の故障のため」
という文字がややひっかかりました。
つまり、情報を整理すると
西武池袋線での故障発生→東急東横線の遅延→京王線での振替輸送実施
という流れになります。
そもそも多くの人はこの情報に接しても何の興味も関心もわかないかもしれません。
いわゆる「無関心」です。
次に、当日東急東横線を利用して横浜に行こうと思っている人がこの情報に接したら、
「10時の打合せに間に合うかなぁ」
「それなら湘南新宿ラインを利用しよう」
と関心を持つことになります。
いわゆる「認識」です。
普通はここまでです。
ただ、私は鉄道好きなので、
「なぜ西武池袋線のトラブルで東急東横線が遅れてしまうのか?」
が気になりました。
これは「疑問」です。
首都圏にお住まいの方は既にお気づきかもしれませんが、西武池袋線と東急東横線は地下鉄副都心線を経由して相互乗り入れを実施しています。
おそらく、その結果として今回の遅延が発生したものと思われます。
そして、京王線の車内で東急東横線の遅れを案内しているのは、その線が振替輸送の対象路線となっているためです。
これは「深掘り」です。
これらを踏まえると、次のことが想定されます。
西武池袋線での故障の影響は他にも及んでいるのではないか?
実際、西武池袋線は地下鉄有楽町線とも相互乗入れしていますし、その有楽町線は東武東上線にも乗入れしています。
つまり、京王線内の情報だけでは分かりませんが、地下鉄有楽町線や東武東上線にも遅れが発生しているかもしれません。
これは「仮説」です。
当日は有楽町線も東上線も利用しなかったので、私自身は直接確かめた訳ではありません。
しかし、かなりの確率で起こっていた可能性があります。
この事例はややマニアックですね(笑)。
でも、
無関心→認識→疑問→深掘り→仮説
のプロセスを経ることによって、
目の前に起きていることと自分とのつながりを意識する
ことになります。
今進んでいる円安に対して原材料を輸入している会社以外の経営者は関心が薄いかもしれません。
また、相次ぐ食品への異物混入は食品メーカーの問題だということで、興味がないかもしれません。
けれども、無関心から一歩、二歩と進むことで、あなたの会社にも何らかの形で及んでいる影響を早めに発見できる可能性がかなり高くなります。
情報がいろんなところとつながり、国内と海外とも境目がなくなりつつある現代。
無関心は大きな罪です。
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